色の猫

黒い板を木の棒でこすると
下に隠されている色が現れる

どんな色が出てくるかわからないまま
植物のようなものを描き始めた

そうしたらやっぱり
猫が描きたくなって
ちょうど目の前で寝ていたので
ありがとう と
形をいただいたのがこのイラスト

色は素敵
色は胸を踊らせる
そして黒は色を包み込む

自分の心は
色になったり黒になったり

グレーの時もあるけれど
そんな時はほんのりピンクにも変えられる

カリカリ カリカリ
板を削る
仏像を掘り出す時の仏師の気持ちに
どこか似ていたりしないかしらと思いながら
形と色に私以外の創造主の気配を感じる
なにか特別な感じのするお絵かきだった

登茂子