屋根の上にカプセル

ちょっと薄着だったかもしれない。コートの前をギュッとすぼめて歩く。
冬の空気はひんやりしていて、いつもより空気が美味しく感じる。
こんな日は空も綺麗。顔を上げ、空いっぱいの澄んだ青を吸い込んだ。
すると、キラッと光るものが目に入った。

「?」

おうちの屋根の上に、見たことのない物がふたつ。
足が止まった。
私の好きそうなもの。
なに?宇宙と交信してる?最新式の望遠鏡か?
紫陽花の植木鉢にも見えるが、わざわざ滅多に登らない屋根に載せるわけもないし。
りじゅうさんとなんだろうね、なんだろうねと首を左右にひねる。
結局、まったく見当がつかなかった。

家に帰り、すぐに「屋根の上、カプセル」で検索した。
同じように気になっている人がいたらしく、すぐに答えはわかった。
なんと、光ファイバーを使った照明の集光機だった。
室内を明るくするのに、太陽光をそのまま使うという。

「なーるーほーどー。」と二人でハモった。
これから家を建てる人にはそんな選択もあるのか。

光ファイバー、
曇りの日でも分厚い雲をまたいで
太陽の光を受け取れる日がくるかもしれない。
本当にできるかも。
もう研究しているかも。
やっぱりそういう研究したかったなあ。
と、白衣の若き自分を想像してみた。

登茂子