「先生の誕生日にお花を渡すので、明日の朝、道で咲いている花を一輪づつ持ってきてください。」
娘の幼稚園で先輩ママがそう言った。
なんて素敵なプレゼントだろう。お金を集めて買うブーケではなく、子供達が摘んだ花がプレゼントになるのだ。
そうして集まった様々な種類の野の花が、綺麗な包み紙に巻かれ、リボンで結ばれ、素敵なブーケになった。まとめきれない花や葉も籐籠に入れられた。そして、それらを渡された先生は、まるでお花摘みの少女のように見えた。
都会の道端で咲くお花は、いわゆる雑草。背も短く葉も多く、まとめにくい。そして刺激に意外に弱く、まとめているうちに花弁が散ってしまったりもする。自然の花は摘まれてもなお長く開花し続ける意味がないのだろう。または、花として認識する頃にはすっかり開ききった状態なのかもしれない。
あの頃、このハナニラが通園途中の道に咲いていたなら、迷わずちょっと分けていただいていただろう。花は白く清々しく春の光に輝いている。
登茂子