コート

当たり前だといえばそうなのだけど、10月のもう終わりなのだから。
でもまだ準備していなかった。
身体が秋の風を受け入れることを。

高台から街に向かって降りていくこの場所。
舞台に出る前のあの感じに似ている。

どうぞ私を守ってください。

私を送り出す風に
コートの前を重ねた。

登茂子